競馬には競走除外、競走中止、出走取消という言葉が存在します。
競馬をやっていると頻繫に聞く言葉ですが、意外と意味をちゃんと理解している人は少ないです。
ここでは、競馬初心者でも分かるように、中央競馬の競走除外、競走中止、出走取消の違いなどについて紹介します。
競走除外とは
競走除外とは、競走馬が装鞍所に入ってから、レースの発走(スタート)までにケガなどで出走を取りやめることです。
装鞍所(そうあんじょ)というのは、出走馬の馬体検査や健康状態を確認するところで、出走馬がレース発走60分前までに入らないといけない場所です。
つまり、レース発走前の60分の間に競走馬がケガや病気をして、出走を取りやめることを競走除外と言うのです。
競馬ではレース直前に「〇番〇〇号の馬体検査を行うため、発走時刻が遅れます」というアナウンスがよくあります。
この馬体検査で異常があったときは、出走をやめますが、これは既に装鞍所に入ってからの出来事なので、競走除外となります。
また、ゲート(スタートの場所)で暴れて、出走をやめる場合も競走除外となります。
競走中止とは
競走中止は競走除外よりもシンプルです。
競走中止とは、レース発走後、ゴールまでたどり着けなかった場合のことを指します。
たとえば、レース中に他の馬にぶつかって落馬したり、馬がケガをして動けなくなりゴールまでたどりつけなかったりすると、競走中止となります。
逆に、いくら馬がケガをしていても、騎手が下馬せずにゆっくりと進み、ゴールまでたどり着けば競走中止にはなりません。(ちゃんと順位がつきます。)
時折、勘違いする人がいますが、競走中止はその馬のみのことで、他にゴールできている馬がいれば、レース自体は成立します。
なので、レース中に1頭落馬し、「〇番の〇〇は競走中止です」とアナウンスされても、レース自体は成立しているので、入着通りに馬券は払い戻されます。
出走取消とは
出走取消とは、装鞍所に入る前にケガなどで出走をやめることを指します。
競走馬がレースに出る場合、通常のレースならレース当週の木曜日に出馬投票をしなくてはいけません。
出馬投票をして、頭数が多ければ抽選などを行い、選ばれた馬だけが出走できます。
なので、出馬投票して、出走が決まってからレース当日の装鞍所に入る前までの間に出走を取りやめた場合を出走取消と言います。
除外、中止、取消の大きな違い
競走除外、競走中止、出走取消には大きな違いが2つあります。
出走を取りやめる時期
除外、中止、取消となる原因はケガや病気です。
ただ、同じ原因でも出走を取りやめる時期によって競走除外、競走中止、出走取消に分かれていきます。
出走投票 | 出走確定 | レース当日 | 装鞍所入り | レース発走後 |
出走取消 | 競走除外 | 競走中止 |
上記の表のように、レース当日までに出走をやめるのを出走取消、装鞍所に入ってからレースが発走するまでに出走を取り消すと競走除外、レース中にゴールできないと競走中止となります。
馬券の返還の有無
除外、中止、取消の一番の大きな違いは馬券の返還の有無です。
たとえば、とある馬の単勝馬券を買っていたとします。
その馬が競走除外or出走取消の場合は馬券の返還があります。
単勝を1万円買っていれば、1万円そのまま戻ってきます。
一方、競走中止の場合は馬券の返還はありません。
レース発走から1秒後に落馬しても馬券の払い戻しはありません。
競馬では、レースが始まってしまうと落馬しようが、ケガをしようが、競走中止の時点で馬券はただの紙くずになってしまうのです。
逆にレースが始まる前に出走を取りやめた場合は全額戻ってきます。
馬券の返還 | |
競走除外 | アリ |
競走中止 | ナシ |
出走取消 | アリ |
枠連を買う場合は注意
競走除外or出走取消の場合は馬券が返還されると説明しましたが、枠連の場合は少し異なります。
競馬には1~8枠まであり、18頭立てなら1枠に馬番1、2というように馬番ごとに振り分けられていきます。
枠については以下の記事で詳しくまとめています。
そして、枠連はこの枠ごとの組み合わせで1,2着を当てる馬券のことです。
たとえば、枠連1-3の馬券を買ったとすると、1枠と3枠の馬が両方1着と2着に来ないといけません。(1枠や3枠だけの馬で1着、2着は外れ)
18頭立てのレースなら1枠と3枠にはそれぞれ2頭ずつ馬が入ります。
なので、仮に1枠にいる馬番1と2のどちらかが競走除外となっても1枠にはもう1頭が残っていることになります。
そのため、1頭が競走除外や出走取消になっても、馬券の返還はされません。
さらに、自分が買った馬が1頭消えるので、馬券の的中確率は下がってしまいます。
ただ、枠連3-3のように同じ枠同士を購入している場合や枠に1頭しかいない時の競走除外や出走取消は返還されます。
競走中止が一番つらい
馬券を買う方からすると、競走中止が一番つらいです。
先ほど説明したように、競走中止になると馬券は一切かえってきません。
競走中止は珍しいことではなく、結構な頻度で起こります。
最近だと、2021年のNHKマイルカップで3番人気のバスラットレオンという馬がスタート直後に落馬し、競走中止となりました。
G1の3番人気ということは多くの人が馬券を買っているということなので、かなりの人数の馬券が一瞬でゴミになってしまったのです。
また、競走除外、出走取消、競走中止の原因の多くは競走馬のケガや疾病です。
その中でも競走中止の場合は予後不良となる確率が高いです。
予後不良とは、いわゆる殺処分となることで、重度の骨折などをすると予後不良と診断されてしまいます。
レース中は馬も本気で走りますし、他の馬との接触などもあるので、重傷になりやすいです。
もちろん、競走中止のなかには騎手が違和感を覚えて、無理させずに下馬することもあります。
ただ、予後不良となる確率で言うと競走中止が一番高いです。
なので、馬券の面でも、競走馬の生命に関しても競走中止が一番つらいです。
まとめ
競走除外、競走中止、出走取消の違いは出走を取りやめる時期です。
また、馬券の返還の有無も異なります。
競走中止については馬券を買うリスクとしてしっかり覚えておいた方がいいです。