競馬新聞などで、馬名の近くに牝馬や牡馬と書かれているのをよく目にすると思います。
競馬経験者からすれば当たり前に読めますが、競馬初心者からすると何て読むのか、牝馬とは一体何なのか分からないと思います。
また、牝馬と牡馬では負担斤量が異なるなど色々と違いがあることも知らないでしょう。
ここでは、牝馬について紹介します。
牝馬の読み方
牝馬は「ひんば」と読みます。
競馬ではかなり「牝(ひん)」という言葉が出てきます。
名牝(めいひん)や牝系(ひんけい)など様々ありますので、「牝」という言葉が出てきたら「ひん」と読むと覚えておきましょう。
ちなみに、牡馬は「牡馬」と読みます。
牝馬とは
牝馬(ひんば)とは、メスの馬のことを指します。
牡馬(ぼば)は、オスの馬のことを指す言葉です。
また、競馬界には去勢する馬も結構います。
去勢した馬のことは騙馬(せんば)と言います。
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主に競馬新聞などでは「牝・牡・セン」と書かれています。
牝馬は負担斤量が軽い
基本的に牝馬(ひんば)と牡馬(ぼば)では負担斤量が2kg違います。
たとえば、宝塚記念では牡馬58kg、牝馬56kgと牝馬の方が負担斤量が軽いです。
ハンデ戦などを除く4歳以上の牡馬・牝馬混合戦では牝馬の方が2kg軽いのです。
ただ、2歳9月までは牡馬・牝馬ともに同じ斤量、2歳10~12月までは1kg差、3歳以降は2kg差となっています。
一般的に1kgで1馬身ほど差がつくと言われており、2kg違うので2馬身ほど牝馬がハンデをもらっているとも言えます。
牝馬と牡馬のどちらが強いのか
よく牝馬と牡馬のどちらが強いのか話題になります。
一般的には、牡馬の方が能力が優れているとされています。
実際、負担斤量が異なるのもこういった理由が関係しています。
ただ、2020年あたりは牝馬の方が活躍していました。
2020年・芝G1(混合戦)の優勝馬
レース名 | 優勝馬 |
高松宮記念 | モズスーパーフレア |
大阪杯 | ラッキーライラック |
天皇賞春 | フィエールマン |
安田記念 | グランアレグリア |
宝塚記念 | クロノジェネシス |
スプリンターズステークス | グランアレグリア |
天皇賞秋 | アーモンドアイ |
マイルチャンピオンシップ | グランアレグリア |
ジャパンカップ | アーモンドアイ |
有馬記念 | クロノジェネシス |
上の表はクラシックや障害戦などを除いた主要な芝・G1レースの優勝馬をまとめた表です。
太字になっているのが牝馬ですが、見て分かるようにほぼ牝馬で占められています。
ですが、近年はG1の場合、牡馬の方が活躍しています。
2024年・芝G1(混合戦)の優勝馬
レース名 | 優勝馬 |
高松宮記念 | マッドクール |
大阪杯 | ベラジオオペラ |
天皇賞春 | テーオーロイヤル |
安田記念 | ロマンチックウォリアー |
宝塚記念 | ブローザホーン |
スプリンターズステークス | ルガル |
天皇賞秋 | ドウデュース |
マイルチャンピオンシップ | ソウルラッシュ |
ジャパンカップ | ドウデュース |
有馬記念 | レガレイラ |
2024年は有馬記念のレガレイラしか、牝馬で古馬の芝G1を勝っていません。
2025年も上半期は牡馬しか勝っていません。
なので、時期によって牝馬が強いか、牡馬が強いかは変わってきます。
そのため、一概にどちらが強いとは言えません。
ダートは牡馬が強い
芝では牡馬・牝馬どちもら活躍していますが、ダートでは牡馬の活躍が目立ちます。
クリソベリルやチュウワウィザード、ゴールドドリーム、ルヴァンスレーヴ、レモンポップなど近年のダートG1で活躍しているのはほとんど牡馬です。
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ただ、そもそもG1に出走してくる牝馬が少ないというのもあります。
また、JBCレディスクラシックなど、牝馬限定のJpn1があったり、ダートG1の数が少なかったりなど、牝馬が牡馬相手に活躍できる場が少ないというのもあります。
凱旋門賞は牝馬有利
世界最高峰のレースと言えば、フランスで行われる凱旋門賞です。
凱旋門賞は数多くの日本馬が挑戦していますが、一度も勝てていないほど難易度の高いレースです。
この凱旋門賞は牝馬が有利となっています。
トレヴやエネイブルが複数回勝っているのもありますが、連対率や複勝率も牝馬の方が高い傾向となっています。
なので、凱旋門賞では牝馬を狙いましょう。
ただ、近年は少しこの傾向が変わりつつあるのでご注意ください。
牝馬限定戦がある
中央競馬には牝馬限定戦というのがあります。
一方、牡馬限定戦というのは存在しません。
なので、牡馬は出られるレースが限られますが、牝馬はどんなレースにも出走できます。(年齢や賞金による制限はある)
たとえば、ヴィクトリアマイルやエリザベス女王杯などは牝馬限定のG1なので、牡馬は出走できません。
よく勘違いされるのが皐月賞や菊花賞です。
牡馬がほとんどなので、牡馬限定戦と勘違いする人がいますが、皐月賞や菊花賞も牝馬は出走できます。
たとえば、2017年の皐月賞ではファンディーナ(1人気7着)、2024年の皐月賞ではレガレイラ(1番人気6着)が牝馬で出走しています。
ただ、どちらにも言えるのが、人気はするけど飛ぶということです。
桜花賞ではなく、あえて皐月賞を選んでくるからこそ、多くの競馬ファンが期待してしまいますが、今のところその期待以上の走りは見せられていません。
牝馬と相性が良い騎手
ここでは、牝馬と相性の良い騎手を何人か紹介します。
池添謙一
オルフェーヴルなど牡馬で活躍しているイメージのある騎手ですが、実は牝馬の方が成績が良いです。
他の騎手と比べて牡馬と牝馬での勝率が大きく離れています。
牡馬の成績もそれほど悪くないですが、牝馬に乗ると勝率がグンと上がる騎手と言えます。
近年で勝ったG1もシンハライトやレーヌミノル、グランアレグリアなど牝馬が多いです。
M.デムーロ
池添騎手ほどではないですが、デムーロ騎手も牝馬の方が勝率が高いです。
デムーロ騎手も牡馬でG1を多く勝っていますが、ラッキーライラックやラヴズオンリーユーなど牝馬でもG1を勝っています。
また、近年もディヴィーナやエミュー、シランケドなど牝馬で結果を残しています。
牝馬は引退が早い
牝馬は牡馬と比べると引退が早いです。
というのも、牝馬の場合は引退後に、繫殖牝馬となる馬が多いからです。
牡馬の場合は、G1を勝つなど活躍しないと種牡馬にはなれません。
一方で、牝馬の場合は、良血であればほぼ無条件で繫殖牝馬になれます。
たとえば、2025年のヴィクトリアマイル(G1)を勝ったアスコリピチェーノという馬がいます。
その母アスコルティは通算成績9戦2勝で、5歳になったばかりの1月で引退しています。
牡馬であれば種牡馬にはなれませんが、血統がいいこともあり繫殖牝馬となり、そしてG1馬を輩出しています。
また、競走馬としてデビューせずに、繫殖牝馬となる馬も時々います。
牝馬には繫殖牝馬という次の役目があるため、そこまで長い期間走らせないので引退が早いです。
まとめ
牝馬(ひんば)は牡馬よりも負担斤量が軽かったり、牝馬限定戦があるなど色々と優遇されている面もあります。
また、近年はアーモンドアイなど牝馬の活躍が顕著になってきています。
デアリングタクトやクロノジェネシスなど強い牝馬はまだまだいるので、これから先も牝馬の時代が続いていくことでしょう。