競馬中継などを見ていると時々「テン乗り」という言葉が出てきますが、競馬初心者からすると意味がよく分からないかと思います。
ここでは、競馬のテン乗りについてまとめてみました。
テン乗りとは
テン乗りとは競走馬に初めて騎乗することを指します。
2019年の有馬記念を制したリスグラシューを参考例に見てみましょう。
リスグラシューは2018年の安田記念まで、ほとんどのレースで武豊騎手が騎乗していましたが、2018年の府中牝馬ステークスで初めてミルコ・デムーロ騎手が騎乗しました。
これがいわゆる「テン乗り」です。
リスグラシューに初めてデムーロ騎手が騎乗することを「テン乗り」と言います。
また、府中牝馬ステークスの次走のエリザベス女王杯にはデムーロ騎手に変わって、モレイラ騎手が騎乗したので、これもテン乗りです。
もし、デムーロ騎手やモレイラ騎手がまた騎乗したとしても、それはテン乗りにはなりません。
テン乗りは騎手が初めて騎乗するときに使う言葉です。
テン乗りの良いところ
テン乗りの場合、騎手はあまりその馬に関する情報がありません。
前に乗っていた騎手や調教師から癖などは聞くとしても、実際にレースには乗っていないので、あまり先入観なくレースに挑めます。
なので、いつもとは違うレース運びをして、思ってもいなかった競走馬の能力を発揮させる可能性があります。
また、競走馬にも合う騎手と合わない騎手がいるので、ずっと合わない騎手とコンビを組んでいて全然勝てなかった馬が、テン乗りで急に勝つこともあります。
他にもリーディング下位の騎手が主戦の馬にリーディング上位の騎手がテン乗りすると急に勝ちだすことも少なくないです。
テン乗りの悪いところ
初めて騎乗するので、乗ってみないと分からない癖などがあり、そのせいでうまく騎乗できずに惨敗してしまうということもあります。
良い部分で先入観なく騎乗できると紹介しましたが、その反面、乗り慣れていないとうまく競馬ができない馬もいます。
先頭に立つと競馬をやめてしまう馬や手応えよりも伸びない馬などは何回か騎乗しないと分からないです。
もちろん、テン乗りの場合、事前にある程度の情報は仕入れますし、うまい騎手であれば関係ない場合もあります。
テン乗りでG1を勝った馬
ここでは、テン乗りで勝った2019年のG1馬を紹介します。
ラッキーライラック
2017年の最優秀2歳牝馬のラッキーライラックは2017年のデビューから2019年の府中牝馬ステークスまで1戦を除く全てのレースで石橋脩騎手が騎乗していました。
しかし、2019年のエリザベス女王杯では、短期免許で来日したスミヨン騎手がテン乗りしました。
重賞で好走はするものの中々勝てずにいたラッキーライラックでしたが、エリザベス女王杯では上がり最速の脚を使い、完勝しました。
馬の力ももちろんありますが、テン乗りがプラスに働いたことは間違いないでしょう。
インディチャンプ
2019年の毎日王冠まで福永祐一騎手が主戦を務めていましたが、2019年マイルチャンピオンシップの前に福永騎手が騎乗停止となり、急遽テン乗りで池添謙一騎手が騎乗しました。
マイルチャンピオンシップにはダノンプレミアムなど多くの強豪馬が出走しましたが、インディチャンプは2着に1.1/2馬身差を付けて優勝しました。
池添騎手はテン乗りではありましたが、追い切りには騎乗し、ある程度把握した状態でレースに臨めたと述べています。
人気馬にテン乗りする場合はかなりプレッシャーがかかりますが、それでも結果を出すのが一流の騎手なのでしょう。
スワーヴリチャード
2019年のジャパンカップをテン乗りのマーフィー騎手で優勝しました。
スワーヴリチャードの場合、2017年のアルゼンチン共和国杯もテン乗りのデムーロ騎手で優勝しているので、テン乗り云々は関係なのかもしれません。
ただ、近年勝てていなかったスワーヴリチャードが優勝できたのは、テン乗りのマーフィー騎手のおかげでもあることは間違いないでしょう。
ちなみに、スワーヴリチャード2019年の有馬記念で引退しました。
テン乗りのねらい目
テン乗りの良いところ、悪いところを紹介しましたが、テン乗りには買うべき時とそうでない時があります。
ここでは、買うべきテン乗りを紹介します。
リーディング上位の騎手のテン乗り
当たり前ですが、リーディング上位の騎手は勝つ確率が高いです。
そんな騎手のテン乗りはもちろん買うべきです。
特にリーディング下位の騎手が主戦の馬で、急にリーディング上位の騎手へのテン乗りになったときは買い時です。
ただ、みんな狙うのでオッズが付きません。
調教で乗っている騎手のテン乗り
競馬では調教で騎乗していても、レースでは別の騎手が騎乗するということが多々あります。
しかし、調教などでたびたび騎乗している騎手はその馬の特徴を把握しているので、レースで好走する確率も高いです。
たとえば、2020年のG1フェブラリーステークスでは16番人気のケイティブレイブが2着に入りました。
このレースにはケイティブレイブの調教に乗っていた長岡騎手がテン乗りで騎乗しました。
レース前に長岡騎手は「この馬の癖は分かっている」と述べているように、調教で騎乗していたことが確実にプラスに働いたレースでした。
まとめ
テン乗りとは、主戦騎手とは違い、その馬に初めて乗ることを指します。
テン乗りがいい時もあれば、悪い時もあるので、馬券を買う際は状況によって判断しましょう。
競馬用語は理解しにくい用語が多いですが、競馬を何度かやっていれば自然と覚えていきます。