競馬ファンのなかで昔から言われているのが、「初仔は走らない」です。
特に、名馬の初仔は走らないと言われていますが、果たして本当なのでしょうか。
ここでは、初仔は走らないのかについてや初仔の活躍馬についてまとめています。
初仔とは
初仔(はつご)とは、母馬から生まれた最初の子供のことを指します。
デビューできた、できないに限らず、最初に生まれた仔が初仔となります。
競走馬というのは、どんな馬もデビューできるとは限りません。
デビューできずにそのまま処分されてしまったり、繫殖にいったりといったこともあります。
仮に最初の仔がデビューできず、2番目の仔がデビューしたとしてもその馬を初仔とは言いません。
初仔は走らないのか
走らないがどこまでを指すかは人によって異なりますが、一旦G1馬に関して見ていきます。
2025年のG1馬(上半期)&何番目の仔か
G1レース名 | 勝ち馬 | 何番目の仔 |
フェブラリーステークス | コスタノヴァ | 4番目 |
高松宮記念 | サトノレーヴ | 10番目 |
大阪杯 | べラジオオペラ | 4番目 |
桜花賞 | エンブロイダリー | 2番目 |
皐月賞 | ミュージアムマイル | 初仔 |
天皇賞春 | ヘデントール | 2番目 |
NHKマイルカップ | パンジャタワー | 2番目 |
ヴィクトリアマイル | アスコリピチェーノ | 4番目 |
オークス | カムニャック | 5番目 |
日本ダービー | クロワデュノール | 11番目 |
安田記念 | ジャンタルマンタル | 初仔 |
宝塚記念 | メイショウタバル | 5番目 |
2025年の上半期のG1馬12頭中2頭が初仔でした。
ミュージアムマイルは、芝のマイルを中心に3勝を挙げたミュージアムヒルの初仔です。
ジャンタルマンタルは、アメリカの芝で活躍したインディアマントゥアナの初仔です。
12頭中2頭が多いのか、少ないかはなんとも言えませんが、少なくともG1を勝っている時点で、一概に初仔は走らないとは言えないでしょう。
ただ、初仔の勝ちあがり率が悪いというのは有名で、特に牝馬の勝ちあがり率が低いというデータもあるそうです。
初仔の活躍馬
初仔の活躍馬がいないわけではありませんが、数は少ないです。
初仔の活躍馬
馬名 | 成績 | 主な勝ち鞍 |
ドリームジャーニー | 31戦9勝 | 2009年有馬記念(G1) |
ブラストワンピース | 18戦7勝 | 2018年有馬記念(G1) |
グローリーヴェイズ | 20戦6勝 | 2019年香港ヴァーズ(G1) |
グランアレグリア | 15戦9勝 | 2020年安田記念(G1) |
ドゥラエレーデ | 19戦2勝(2025年7月時点) | 2022年ホープフルステークス(G1) |
上記はあくまで一部であり、他にも活躍馬はいます。
ただ、活躍はしているけれど、圧倒的な成績とインパクトを残した馬はほとんどいません。
実際、2010年以降の年度代表馬で初仔だった馬は1頭もいません。
また、初仔で活躍している馬の多くが古馬になってから活躍しています。
クラシックで好走する場合もありますが、基本的に初仔の場合は早い時期の活躍は期待しにくいと言えます。
初仔が活躍している際の2番目以降の仔
初仔が活躍しているから2番目以降の仔も活躍するのでしょうか。
ドリームジャーニーの弟と妹の成績
馬名 | 成績 | 主な勝ち鞍 |
アルスノヴァ | 3戦2勝 | 2007年500万下 |
グッドルッキング | 29戦3勝 | 2009年1000万下 |
ジャポニズム | 23戦2勝 | 2010年3歳未勝利 |
オルフェーヴル | 21戦12勝 | 2011年有馬記念(G1) |
リヤンドファミユ | 24戦4勝 | 2013年若駒S(OP) |
ブラストワンピースの弟と妹の成績
馬名 | 成績 | 主な勝ち鞍 |
ヴィクトリアピース | 3戦1勝 | 2018年2歳新馬 |
ホウオウピースフル | 17戦3勝 | 2022年巴賞(OP) |
ブラストウェーブ | 3戦1勝 | 2022年2歳新馬 |
基本的に、初仔で活躍した場合、その後の仔も活躍する傾向にあります。
全員ではありませんが、OPレベルまで行けるような馬が1頭から2頭出ることが多いと言えるでしょう。
名馬の初仔は走らないのか
初仔が走らないわけではないというのは分かりましたが、名馬の初仔はどうなのか。
近年でG1を勝っている牝馬の初仔に焦点を当てていきます。
母馬 | 初仔 | 重賞勝ち |
アーモンドアイ | アロンズロッド | × |
ノームコア | シルバーレイン | × |
リスグラシュー | シュヴァルトリリエ | × |
ジュールポレール | ジュールヒート | × |
アンジュデジール | アズデザイヤ | × |
レーヌミノル | コットンキャンディ | × |
ソウルスターリング | スターリングアップ | × |
ディアドラ | シオーグ | × |
モズカッチャン | モズマワシゲリ | × |
シンハライト | セブンサミット | × |
マリアライト | オーソクレース | ×(G1で2着あり) |
メジャーエンブレム | プレミアムエンブレム | × |
見て分かるように、重賞で活躍している馬はほぼいません。
なかには、1勝もできていない馬もいるくらい、活躍していません。
現在も現役の馬はいるので、今後、化ける可能性はありますが、それを踏まえても名馬の初仔は走らないと言っていいかもしれません。
ただ、そもそも初仔だけでなく、名馬の仔が走らないという可能性もあります。
たとえば、NHKマイルカップなどG1を2勝したメジャーエンブレムの仔は、最高成績が2勝クラスで、1勝もできていない馬が複数頭います。
もちろん、マリアライトの初仔のオーソクレースは菊花賞2着、オークス2着のチェッキーノの初仔のノッキングポイントは新潟記念(G3)を勝つなど、好走例もあります。
ですが、全体的に見ると、名馬の初仔は走らないですし、名馬の仔自体走らない可能性が高いです。
何番目の仔が走るのか
では、一体何番目の仔が走るのか。
明確なデータはありませんが、傾向としては2~3番目の仔が活躍しています。
馬名 | 主な勝ち鞍 | 何番目 |
ホッコータルマエ | 2014年チャンピオンズカップ(G1) | 2番目 |
コントレイル | 2021年ジャパンカップ(G1) | 3番目 |
オジュウチョウサン | 2022年中山GJ(J・G1) | 2番目 |
イクイノックス | 2023年ジャパンカップ(G1) | 3番目 |
リバティアイランド | 2023年オークス(G1) | 2番目 |
POGや一口馬主をやる際に狙うべきは初仔ではなく、2番目~3番目の仔を狙うことをおすすめします。
とはいえ、血統の組み合わせなどもありますので、必ずしも何番目の仔が走るとは言い切れません。
まとめ
初仔が走らないわけではありませんが、大きな活躍をしている初仔は少ないですし、特に名馬の初仔の成績は良くありません。
ただ、初仔が活躍した場合、その後の仔も活躍することが多いです。