日本ダービーと言えば、ホースマンの誰もが憧れる舞台であり、非常に格の高いレースです。
また、3歳馬しか出走できないため、どんな馬にも一生に一度しかチャンスがありません。
そのため、ダービーを優勝することはかなり大変です。
しかし、近年はダービーを優勝した後は全く勝てなくなる傾向が続いています。
2010年以降のダービー馬のその後
ここでは、2010年以降のダービー馬のその後を紹介します。
エイシンフラッシュ(2010年)
2010年の皐月賞を11番人気で3着、ダービーを7番人気で優勝するなど、人気薄の時に好走する馬でした。
ダービー優勝後は天皇賞(春)や有馬記念で2着に入りますが、なかなか勝つことができませんでした。
しかし、ダービーから2年半後の2012年天皇賞(秋)で5番人気ながら優勝しました。
その後は毎日王冠で優勝するものの、G1を勝つことはなく、2013年のジャパンカップを最後に現役引退しました。
引退後は種牡馬となり、2017年に産駒がデビューしましたが、活躍するまでには至っていません。
中央の重賞は未勝利で、地方では笠松や佐賀の重賞で産駒が優勝しています。
代表産駒としては、中央で4勝し、中日新聞杯や鳴尾記念に出走したジェシーが挙げられます。
オルフェーヴル(2011年)
2011年のダービーを含め、クラシック3冠を達成した名馬です。
2010年以降のダービー馬で、最も活躍したダービー馬と言えるでしょう。
ダービー優勝後は2011、2013年の有馬記念や2012年の宝塚記念を優勝するなど活躍しました。
なかでも2年連続で凱旋門賞を2着となっており、2012年の凱旋門賞ではクビ差で敗れて日本馬初の凱旋門賞制覇を逃しました。
2013年に通算成績21戦12勝で現役を引退しました。
引退後は種牡馬となり、産駒も大活躍しています。
初年度産駒のラッキーライラックは阪神ジュベナイルフィリーズや大阪杯などを優勝しており、同じく初年度産駒のエポカドーロも皐月賞を優勝しています。
ディープブリランテ(2012年)
2013年にゴールドシップやワールドエースを抑え、ダービーを優勝しました。
ダービー優勝後はイギリスで行われたキングジョージ6世&QESに出走しますが、8着に敗れました。
帰国後は菊花賞に向かう予定でしたが、屈腱炎を発症し、2013年10月に現役引退となりました。
引退後は種牡馬となり、中山金杯を勝ったセダブリランテスやかきつばた記念を勝ったラプタスなどを輩出しています。
2020年にはモズベッロが宝塚記念で12番人気ながら3着に入りました。
ただ、いまだにG1馬は輩出できていません。
キズナ(2013年)
2013年に武豊鞍上のもと1番人気でダービーを優勝しました。
ダービー優勝後は凱旋門賞に挑戦しましたが4着に敗れました。
ちなみに、この凱旋門賞には2011年のダービー馬であるオルフェーヴルも出走しており、2着となっています。
帰国後は2014年の産経大阪杯を優勝するものの、G1を勝つことはなく、2015年の天皇賞(春)を最後に現役引退しました。
引退後は種牡馬となり、チューリップ賞を制したマルターズディオサや京成杯を制したクリスタルブラックを輩出しています。
2021年にはアカイイトがエリザベス女王杯、2022年にソングラインが安田記念、2024年にはジャスティンミラノが皐月賞を優勝するなど、数多くのG1馬も誕生しています。
ワンアンドオンリー(2014年)
2010年以降のダービー馬で一番活躍できなかったダービー馬でしょう。
2014年のダービー優勝後、次走の神戸新聞杯を優勝するものの、その後は23連敗して2017年に引退しました。
23連敗の中で馬券内に入ったのは2015年のドバイシーマクラシックの3着のみとなっています。
ただ、毎レース必死に走る姿は多くの競馬ファンに勇気と感動を与えました。
引退後は種牡馬となり、2019年に産駒が誕生しました。
ドゥラメンテ(2015年)
2015年のダービーで単勝1.9倍の圧倒的支持を受けながら優勝しました。
ダービー後、放牧中に骨折が発覚し、長期休養後の中山記念で復活の勝利を挙げました。
その後はドバイシーマクラシックと宝塚記念に出走しましたが、いずれも2着と惜しい結果となりました。
宝塚記念後にケガをして、2016年6月に競走能力喪失となり、現役を引退しました。
G1勝利数は少ないものの、能力の高さは超一流で、騎乗していたミルコ・デムーロ騎手も芝ではNo.1ホースと述べています。
引退後は種牡馬となり、2020年に産駒がデビューし、何頭か新馬勝ちを収めています。
マカヒキ(2016年)
ワンアンドオンリーと同様にダービー優勝後は全く活躍できていないダービー馬です。
2016年のダービーではサトノダイヤモンドを抑えて優勝し、その勢いのまま、凱旋門賞に挑みますが14着に敗れました。
凱旋門賞で調子を崩したのか、帰国後の2017年から現在まで一度も勝利していません。
ただ、G2では3回馬券内に入っており、そのたびに復活が期待されますが、残念ながらG1では惨敗が続いています。
一方、全弟のウーリリは2020年の前半で2勝するなど調子を上げています。
競馬の全兄と半兄の違いは?競走馬の兄弟関係についてまとめてみた
レイデオロ(2017年)
2017年のダービー優勝後はジャパンカップ2着や2018年の天皇賞(秋)を優勝するなど、例年のダービー馬と比べると活躍したといえるでしょう。
しかし、2019年になってからは5戦連続で馬券外になるなど凡走が続きました。
ただ、ファンが多い馬だったので、凡走が続いているにも関わらず毎レース人気していました。
そして、復活することなく2019年の有馬記念を最後に現役引退となりました。
引退後は種牡馬となり、かなりの数に種付けしています。
ワグネリアン(2018年)
2018年にダービーを優勝し、福永祐一騎手に初のダービー制覇をプレゼントしました。
ダービー後は神戸新聞杯を優勝するものの、それ以降は1勝もできず、2021年ジャパンカップ18着後には肝臓疾患を患います。
一時は回復するも、2022年1月に入院馬房にて死亡しました。
ロジャーバローズ(2019年)
2019年のダービーで12番人気ながら優勝しました。
人気がなかったのは当然のことで、ダービーまで1度も重賞を勝っておらず、新馬戦と少頭数の500万下しか勝ったことがありませんでした。
ダービー後は凱旋門賞への挑戦が表明されていましたが、2019年8月に屈腱炎が判明し、そのまま引退となりました。
引退後は種牡馬となりました。
2023年に産駒がデビューし、オーキッドロマンス(母エキナシア)という馬が初勝利をあげています。
コントレイル(2020年)
2020年のダービーを無敗のまま優勝しました。
無敗の2冠馬は父ディープインパクト以来、15年ぶりの快挙となりました。
そして、神戸新聞杯、菊花賞を勝利し、史上8頭目となるクラシック三冠を達成しました。
菊花賞後はジャパンカップ2着、大阪杯3着、天皇賞秋2着と惜敗が続きましたが、ラストランとなる2021年ジャパンカップで有終の美を飾りました。
引退後は種牡馬となりました。
シャフリヤール(2021年)
2021年のダービーを福永騎手鞍上のもと優勝しました。
ダービー後は神戸新聞杯(4着)を挟み、菊花賞ではなくジャパンカップ(3着)に挑みました。
2022年3月にはドバイシーマクラシックに挑戦し優勝しました。
ただ、その後は馬券内には来るものの、1度も勝利することはできず、2024年有馬記念(2着)を最後に引退となりました。
ドウデュース(2022年)
名馬イクイノックスを抑え、2022年のダービーを勝ちました。
ダービー後は凱旋門賞に挑戦しましたが19着となり、帰国初戦の京都記念は勝つものの、その後は惨敗が続きました。
ただ、2023年の有馬記念では2戦ぶりに武豊騎手が騎乗すると、圧巻の走りをみせ優勝しました。
2024年もドバイターフや宝塚記念では敗れる者の、天皇賞秋とジャパンカップを連勝し、有馬記念でのラストランが決まっていましたが、右前肢ハ行のためそのまま引退となりました。
引退後は種牡馬となりました。
タスティエーラ(2023年)
レーン騎手鞍上のもと、2023年のダービーを優勝しました。
ダービーは古くからテン乗りは勝てないと言われていましたが、69年ぶりにテン乗りで日本ダービーを制しました。
この馬もダービー後はなかなか勝つことができませんでしたが、2025年4月に香港で行われたQE2世カップで久々の勝利を挙げました。
ダノンデサイル(2024年)
2024年のダービーを9番人気ながら優勝しました。
菊花賞では1番人気と支持を受けますが6着に敗れ、有馬記念でも3着とか勝ち切れませんでした。
ただ、その後はアメリカジョッキークラブカップを勝ち、2025年4月にはドバイシーマクラシックも勝ちました。
クロワデュノール(2025年)
2025年のダービーを1番人気で優勝しました。
皐月賞では2着となりましたが、ダービーでは皐月賞馬を抑え1番人気に支持され、結果を残しました。
まとめ
ダービー馬のその後は活躍できていないことが多いですが、ほとんど馬が引退後に種牡馬となっています。
種牡馬で活躍している馬もおり、この先ダービー馬の子供がダービーを制することもたくさんあるでしょう。
また、まだ現役のダービー馬もいるので、ここから大活躍する可能性も大いにあります。