競馬には降着や失格といったルールが存在します。
ただ、降着や失格があるのは知っているけど、降着や失格になった場合に着順や払い戻しはどうなるか知らないという人が多いです。
ここでは、競馬の降着や失格について紹介します。
競馬の降着とは
競馬は出走頭数が多いので、他の馬とぶつかったり、斜行して進路を妨害してしまうことが多々あります。
基本的に降着となるのは他の馬を邪魔した時ですが、邪魔したからすぐ降着とはならず、降着となるのは以下の場合です。
「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と判断した場合、加害場は被害馬の後ろに降着となります。(JRA降着・失格のルールについて)
つまり、被害馬が加害馬に先着していたと判断されなければ、いくら被害馬が大きな不利を受けても加害馬は降着にならないのです。
たとえば、最後の直線でスタミナが切れて失速しているAの馬が後ろから来た勢いのあるBの馬に邪魔され、Bの馬に負けたとしても、Bの馬は降着にならないのです。(状況にもよります。)
逆に、最後の直線で先頭を走るスタミナ切れのAの馬がふらつき、後ろから勢いよく来たBの馬の進路を塞いで、Aの馬が勝った場合はAは降着となります。(これも状況によります。)
とはいえ、裁決委員が降着かどうかの判断をするので、降着と思っても降着ではないというパターンが結構多いです。
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降着の場合の順位と払い戻し
基本的に被害馬が加害馬に先着できたと判断され降着となった場合、被害馬と加害馬の順位が入れ替わります。
たとえば、加害馬が1位入線、被害馬が2位入線で降着となった場合、加害馬が2位、被害馬が1位となります。
払い戻しも加害馬が2位、被害馬が1位として払い戻されます。
実際に降着となったレースを例に紹介します。
以下の表は降着があった2020年11月のレースです。
入線順位 | 1位 | 4番メイショウサンガ | 2位 | 2番ナリタザクラ |
降着後の順位 | 1位 | 2番ナリタザクラ | 2位 | 4番メイショウサンガ |
4番メイショウサンガが1位入線しましたが、降着となり、2番ナリタザクラが1位となりました。
なので、最終的な払い戻しは2番を頭とした払い戻しになりました。
入線順位 | 単勝 4 | 馬単 4-2 | 3連単 4-2-1 |
降着後の順位 | 単勝 2 | 馬単 2-4 | 3連単 2-4-1 |
降着かどうかを判断する際は審議となり、順位は確定しません。(順位確定まで払い戻しはされない)
審議の結果、降着になると降着となった順位で馬券が払い戻されます。
降着の頻度
斜行などで騎手が制裁を食らうことはよくありますが、降着になることは少ないです。
中央競馬の場合、降着は月1回あるかないか程度です。
降着になりそうなケースは多いですが、実際に降着と判断されることはほとんどありません。
また、重賞での降着はもっと少なく、最近だと2020年のG1高松宮記念で1位入線のクリノガウディーが4位に降着したぐらいしかありません。
地方競馬も中央競馬と同様に降着は少ないです。
競馬の失格とは
競馬で失格となる理由は様々です。
一番多いのが禁止薬物の検出による失格です。
競馬では禁止薬物が定められており、レース後に1~3着馬と裁決委員が指定した馬は禁止薬物の検査を受けなくてはいけません。
この検査で禁止薬物の使用が発覚した場合、失格となります。
ちなみに、名馬ディープインパクトも凱旋門賞に出走した際、禁止薬物が検出され失格となりました。
また、禁止薬物以外に失格となるのが走行妨害です。
「極めて悪質で他の騎手や馬に対する危険な行為によって、競走に重大な支障を生じさせた」と判断した場合、加害馬は失格となります。(JRA降着・失格のルールについて)
極めて悪質で競走に重大な支障を生じさせると失格になるのですが、現状、競走妨害で失格となるケースはほぼないです。
失格による順位と払い戻し
失格となるケースはかなり少ないですが、2020年11月に中央競馬で禁止薬物による失格がありました。
未勝利戦で1着となったソーヴァリアントという馬からレース後に禁止薬物が検出され、失格となりました。
失格となったので、2着馬以下が繰り上がりとなりました。
ただ、レース確定後に失格となったので、払い戻しはソーヴァリアント1着のままで、変更もありませんでした。
つまり、2着馬の単勝を持っていて、その馬が繰り上げ1位になっても払い戻しはされないということです。
海外では禁止薬物での失格が多く、大きいレースでもよくありますが、日本と同様に馬券の払い戻しはレース確定順位のままで、変更されることはありません。
ただ、レース確定前に失格となれば、払い戻しも変更となります。
降着の判断基準はバラバラ
降着や失格の条件は決まっていますが、裁決委員が降着を判断するので降着を巡り競馬ファンの中ではたびたび論争が起きます。
たとえば、2017年に大井競馬場で行われたJBCレディスクラシックでは1位入線馬が2着の馬を妨害していましたが、降着にはなりませんでした。
一方、2020年の高松宮記念では1位入線の馬が斜行し、4位に降着となっています。
なので、降着となるかどうかの判断はよく分からないのです。
ただ、降着になることの方が少ないので、基本的に降着はないと思った方がいいでしょう。
パトロールビデオを見よう
降着や失格に納得できない時はパトロールビデオを見ましょう。
パトロールビデオとは競走中の不正や反則の判断のために撮影されたビデオで、JRAのホームページから誰でも閲覧できます。
基本的にレースは側面でしか見られないので、競走馬が斜行したり不利を受けてもレースを見ている側からすると、どのくらい斜行しているかなどがよく分からないです。
一方、パトロールビデオはレースを正面から映しているので、どのくらい斜行しているのかがはっきり分かります。
自分の買った馬がレース中に他の馬に邪魔されたと思ってパトロールビデオを見ると、大して邪魔されていないといったことはよくあります。
なので、降着や失格があった際はパトロールビデオを見てみましょう。
まとめ
降着や失格のルールは決まっていますが、裁決委員の判断によるものなので、はっきりとした基準は分かりません。
また、降着や失格はかなり少ないです。
払い戻しに関してはレースが確定した場合は変更されません。
いずれにせよ、降着や失格に関しては競馬を見ている側からは何もできません。