競馬ではレース中のアクシデントや事故で、予後不良となる競走馬がいます。
予後不良は起きて欲しくない出来事ですが、競馬がある以上、仕方のないことでもあります。
ここでは、近年で予後不良と診断された馬をまとめています。(2024年時点)
ただ、地方競馬の馬や勝ち星の少ない馬は省略しています。
予後不良とは
そもそも予後不良について知らない人もいるでしょう。
予後不良とは、脚の故障などで回復が極めて困難と診断され、殺処分となることです。
競走馬は回復困難なケガをしてしまうと、自力で立つことができなくなり、死んでしまいます。
そのため、回復困難な脚のケガをした場合に予後不良の診断となってしまいます。
予後不良を診断された馬は主に薬によって殺処分されます。
予後不良となった馬たち
ここでは、主に2018年以降で予後不良となった馬たちをまとめました。
重賞勝ちや勝ち星の多い馬を中心にまとめています。
マイネルフロスト
2019年のアメリカジョッキークラブカップで右第1指関節脱臼のため、予後不良となりました。
マイネルフロストは2014年のG3毎日杯を優勝するなど、通算4勝を挙げる活躍を見せました。
勝ててはいないものの、重賞でたびたび好走しており、新潟大賞典や七夕賞などで2着に入っています。
特に、ワンアンドオンリーが優勝した2014年のG1日本ダービーでは12番人気ながら3着と好走しました。
マイネルフロストにはマイネル軍団のお馴染みの柴田大知や丹内祐次、松岡正海などが騎乗しており、様々な騎手で好走しています。
予後不良となったアメリカジョッキークラブカップでは、向正面で後方から2番手に上がる頑張りを見せてくれましたが、4コーナー手前で故障してしまいました。
長きにわたって重賞戦線を盛り上げてくれたマイネルフロストは多くの競馬ファンの心に残りました。
フミノムーン
2020年2月の障害初戦で着地に失敗し、右第3中手骨開放骨折のため予後不良となりました。
重賞勝ちはないものの、1200m戦を中心に6勝を挙げました。
重賞には何度も出走しており、2018年のシルクロードステークスでは15番人気ながら3着と好走しました。
ただ、人気すると飛ぶ傾向にあり、ファルコンステークスや淀短距離ステークスでは1番人気ながら馬券外に飛んでいます。
大敗が続いた8歳のころ障害に転向しましたが、障害初戦で悲劇を迎えました。
テトラドラクマ
2020年の1月にレース中ではなく運動後に暴れて機械に強打し、予後不良となりました。
通算成績は11戦3勝で、2018年にはクイーンカップを制しました。
クイーンカップを制して以降、惨敗が続いていましたが2019年のオーロカップで勝利を挙げ、復活が期待された矢先の事故となってしまいました。
引退後は繁殖牝馬としても活躍するであろう馬でしたので、多くの競馬ファンが悲しみに暮れました。
レッドルーラー
2018年の障害オープンで左踵骨粉砕骨折し、予後不良となりました。
平地で4勝、障害で1勝を挙げる活躍を見せてくれました。
主な勝鞍は2013年の若葉ステークスで、7番人気ながら優勝しました。
この若葉ステークスには、後に日経新春杯など重賞を4勝したサトノノブレスや目黒記念2着のレコンダイトが出走しており、能力の高い馬を抑えての優勝でした。
レッドルーラーにはスミヨンやアッゼニ、バルジューなど様々な外国人騎手が騎乗しました。
ブライトライン
2018年の室町ステークスで左前脚を故障し、予後不良となりました。
通算成績は45戦7勝で、重賞を2勝しています。
ブライトラインといえば、芝とダート両方の重賞を制しており、二刀流の馬でした。
4歳の2月までは芝レースで活躍し、それ以降はダートで活躍しました。
2014年には海外のゴドルフィンマイルに出走するなど、数多くの競馬場で走っており、芝・ダートだけではなく様々なコースで好走しました。
9歳まで頑張って走っていましたが、非常に残念な最後となってしまいました。
ダノンメジャー
2018年の小倉大賞典にて左第1指関節脱臼を発症し、予後不良となりました。
通算成績は29戦6勝で、重賞勝ちはありませんが都大路ステークスなど、OPで2勝しています。
デビューから2連勝するなど早い時期から期待されていた馬で、一時期は低迷するものの、2018年の金杯で4着になるなど調子を上げてきた矢先の予後不良となってしまいました。
ダノンメジャーはドゥラメンテが優勝した2015年の日本ダービーなど、数多くの重賞に出走しました。
2歳のころに出走した京都2歳ステークスでは、後にジャパンカップを制し、2019年の有馬記念で引退したシュヴァルグランに先着しています。
タンタアレグリア
2019年に調教中に故障し、予後不良となりました。
2017年のG2アメリカジョッキークラブカップを7番人気ながら優勝しました。
ちなみに、このレースでシングウィズジョイという馬が予後不良となっています。
タンタアレグリアは2017年のオールカマー以降、長期休養しており、復帰を目指して調教している最中の故障となってしまいました。
天皇賞春や阪神大賞典で掲示板内に入る活躍を見せており、生きていれば長距離界のスターホースとなっていたことでしょう。
カッチョカバロ
ここまで紹介してきた馬とは違い、中央競馬で1勝もできなかった馬ですが、未勝利戦で4度の馬券内に入るなど力はあった馬です。
2020年8月のレース中に左第1指節種子骨複骨折を発症し、予後不良と診断されました。
約1年で11戦しており、近走は調子を落としていましたが、いずれは上のクラスでも戦える馬でした。
ブラックスピネル
2020年10月の障害レースで骨折し、予後不良となりました。
通算成績は34戦5勝で、芝の中距離を中心に活躍しました。
クラシックには出走していませんが、3歳時に京都新聞杯やラジオNIKKEI賞で掲示板に入るなど好走し、翌2017年の東京新聞杯でエアスピネルなどを抑えて優勝しました。
その後は結果が出ませんでしたが、2019年に復調し、白富士ステークスを優勝、鳴尾記念で2着と活躍しました。
2020年には障害に転向し、初戦で1番人気に推されますが、レース中に骨折して競走中止となり、予後不良と診断されました。
ハクアイオウ
2021年1月の小倉でのレース中に転倒し、左第1指節種子骨粉砕骨折のため予後不良と診断されました。
半兄には2018年の東京ダービーを勝ったハセノパイロや名古屋で11戦10勝のリーダーズボードなどがいます。
競馬の全兄と半兄の違いは?競走馬の兄弟関係についてまとめてみた
2020年に中央でデビューしましたが、なかなか勝ち星を挙げられませんでした。
しかし、2020年9月に佐賀に移籍すると、移籍初戦から9馬身差をつける圧勝をみせ、そこから6連勝します。
満を持して中央に戻ってきた矢先に予後不良となってしまいました。
カスティーリャ
父がモーリス、母がアメリカンオークスを勝ったスパニッシュクイーンと将来が期待されていた馬でした。
2020年のデビュー戦から3,2,2着と好走すると、10月の京都で初勝利を挙げ、2021年1月のシンザン記念にも出走しました。
2021年2月、阪神でのレース中に左第3中手骨複骨折及び左第1指節種子骨々折を発症し、予後不良と診断されました。
トリコロールブルー
2021年2月、調教中に左前第1指節種子骨を粉砕骨折し、予後不良と診断されました。
通算成績は23戦6勝で、2017年の菊花賞にも出走しています。
デビューから着実に勝利を重ね、2018年の大阪城ステークスを勝つと、続く鳴尾記念では3着と好走しました。
2020年9月のケフェウスステークスを勝ち、12月の中日新聞杯にも出走しましたが、これが最後のレースとなってしまいました。
スズカデヴィアス
2014年にデビューした馬で、2018年の新潟大賞典を勝つなど芝の中長距離で長きに渡って活躍しました。
2019年には海外遠征し、結果は出なかったもののオーストラリアで6戦しました。
帰国後は9歳ながら障害に転向し、2020年には中山大障害にも出走しました。
10歳になった2021年も現役を続行しましたが、6月の障害レースで左第1指関節脱臼を発症し、予後不良となりました。
モズアトラクション
2021年7月に放牧先で急性腹症を発症し、予後不良と診断されました。
デビュー時は芝の中距離を走っていましたが、10戦して1度も勝つことができませんでした。
しかし、2017年10月にダートに転向すると一気に頭角を現し、3連勝するなどしてオープン入りを果たしました。
2019年にはG3エルムステークスでグリムなどを抑え、重賞初制覇しました。
7歳になった2021年も掲示板に入るなど、まだ活躍しそうな雰囲気がありましたが、悲しい結末となってしまいました。
カイザースクルーン
2021年8月に右第1指関節脱臼のため予後不良と診断されました。
2018年のデビュー戦で初勝利を挙げると、芙蓉ステークスでは2着にハナ差の3着と好走しました。
その後は京成杯などに出走しますが、結果を残せず、勝ち星を挙げられないまま2021年8月にこの世を去りました。
芝・ダート問わず好走し、3走前には2着に入るなどまだまだ可能性のある馬でしたが、残念な結果となってしまいました。
マサハヤドリーム
2023年2月の春麗ジャンプステークスで右第3中手骨開放骨折し、
予後不良と診断されました。
障害で活躍した馬ですが、
若い時はホープフルS(G2)や菊花賞(G1)に出走するなど、
平地でも活躍していました。
重賞勝ちはありませんが、
3走前には京都ジャンプS(JG3)で2着になるなど、
近い将来、重賞初制覇の可能性は十分にありましたが、
そのまえに悲しい結末となってしまいます。
ストーリア
2023年10月に左第1指関節脱臼と診断され、予後不良となりました。
2023年の中山牝馬ステークスで2着に来るなど、
牝馬の中距離路線で活躍を期待されていた馬でした。
予後不良となってしまった府中牝馬ステークスでも
単勝オッズ8倍の6番人気に推されていましたが、
4角で競走中止となり悲しい結末となってしまいました。
シュヴェルトリリエ
2024年7月に右トモ第1趾骨の粉砕骨折と診断され、予後不良となりました。
1勝もしていない馬ではありますが、
G14勝の名馬リスグラシューの初仔ということで期待されていた馬です。
近走でも馬券内に来るなど初勝利間近のところで、
悲しい結末となってしまいました。
まとめ
今回紹介した馬はごく一部で、予後不良と診断されている馬はたくさんいます。
どんな馬にもレースのちょっとしたアクシデントでこの世を去る可能性があります。
多くの競馬ファンが予後不良という言葉を聞きたくないと思っていますが、競馬がある以上この先も予後不良となる馬は後を絶たないでしょう。