競馬に関する記事を読んでいるとよく出てくるのが、全兄や半兄です。
全兄や半兄と聞いても競馬初心者の方にとっては違いが分からないと思いますし、競馬経験者の中にもわかっていない人はいるのではないでしょうか。
競走馬の兄弟関係は人間とは違い、少々複雑となっています。
ここでは、全兄と半兄の違いなど競走馬の兄弟関係について紹介します。
全兄や半兄の読み方
そもそも全兄や半兄を知る前にそれぞれなんて読むのか知っておきましょう。
まず、半兄は「ハンケイ」と読みます。
なんとなくでも読めた人は多いのではないでしょうか。
次に半弟は「ハンテイ」と読みます。
これも舎弟などがあるので、読めるかと思います。
一番難しいのが半姉で、半姉は「ハンシ」と読みます。
最後に半妹は「ハンマイ」と読みます。
全兄は「ゼンケイ」と読み、他の全弟などについても「ハン」を「ゼン」に読み替えれば問題ありません。
兄弟の前提条件
まず、競走馬の世界では父親が同じでも母親が違う場合は兄弟とは呼びません。
逆に父親が違くても母親が同じ場合は兄弟と呼びます。
父親だけ同じ馬を兄弟としてしまうと、種牡馬は1年で何十~何百頭もの種付けをするので、100人兄弟などがざらに出てきてしまい、兄弟の量が半端なくなってしまいます。
ですので、人間の場合はどちらの場合も兄弟と呼びますが、競走馬の世界では兄弟と呼ぶのは母親が同じ場合の時だけです。
半兄とは
では、半兄とはなんなのかというと、半兄は母親が同じで父親が違う兄のことを半兄といいます。
実際の競走馬を例に出して詳しく説明します。
2019年の皐月賞馬サートゥルナーリアは父がロードカナロア、母がシーザリオとなっています。
名前 | 生年月日 | 父 | 母 |
サートゥルナーリア | 2016年3月21日 | ロードカナロア | シーザリオ |
リオンディーズ | 2013年1月29日 | キングカメハメハ | シーザリオ |
エピファネイア | 2010年2月11日 | シンボリクリスエス | シーザリオ |
サートゥルナーリアは母シーザリオの9番目の子ですが、3番目の子には2014年のジャパンカップを制した牡馬のエピファネイアがいます。
エピファネイアの父はシンボリクリスエス、母はシーザリオとなっています。
サートゥルナーリアから見ると、エピファネイアは母親が同じで父親が違うので半兄となります。
また、母シーザリオの6番目の子には朝日杯を制した牡馬のリオンディーズがいますが、リオンディーズも父がキングカメハメハなので、サートゥルナーリアから見ると半兄にあたります。
全兄とは
ここまで来ればなんとなく察しがつくと思いますが、全兄とは父親も母親も全く同じ兄のことを指します。
サートゥルナーリアの例でいえば、サートゥルナーリアよりも年上の牡馬で父も母も同じ馬のことを全兄と呼びます。
また、年上の牝馬で父も母も同じなら全姉と呼びます。
今はいませんが、この先シーザリオにロードカナロアを種付けし牡馬が生まれた場合、その馬はサートゥルナーリアから見ると全弟にあたります。
名馬の全兄や全弟だからといって活躍するわけではない
競馬は血統が大事と言われているので、名馬と同じ配合の全兄や全妹なども同じように走るかと思っている人も多いでしょう。
しかし、ここが競馬の面白いところで父と母が同じ組み合わせの馬でも走る馬と走らない馬がいるのです。
もちろん、名馬と同じ配合にすれば活躍する可能性も高くなりますが、必ずしも活躍するわけではないのです。
たとえば、朝日杯を制し、天皇賞秋やマイルチャンピオンSで2着と活躍しているダノンプレミアムの全兄にロードプレミアムという馬がいますが、ロードプレミアムは2019年までで30戦2勝とダノンプレミアムほど活躍できていません。
ですので、POGなどで今活躍している馬の全弟や全妹だからと言って指名すると痛い目を見る可能性があることを覚えておきましょう。
競馬には兄弟対決もある
競馬にはたまに兄弟で同じレースに出走することがあります。
小さいレースではあまりなく、重賞など大きな舞台で見ることができます。
有名なのがダイワメジャー(2001年生まれ・牡馬)とダイワスカーレット(2004年生まれ・牝馬)の有馬記念です。
どちらの母親もスカーレットブーケという馬です。
ただ、ダイワメジャーの父親はサンデーサイレンス、ダイワスカーレットの父親はアグネスタキオンなので、ダイワメジャーから見るとダイワスカーレットは半妹にあたります。
この兄妹対決は2着にダイワスカーレット、3着にダイワメジャーでしたので、ダイワスカーレットに軍配が上がりました。
近年で言えば、ラニ対アウォーディーのチャンピオンズカップが挙げられます。
ラニは2013年生まれで母がヘヴンリーロマンスで父がTapit、アウォーディーは2010年生まれで母は同じくヘヴンリーロマンス、父がジャングルポケットなのでラニから見るとアウォーディーは半兄にあたります。
このレースではアウォーディーが2着、ラニが9着だったのでアウォーディーに軍配が上がりました。
まとめ
全兄(ゼンケイ)と半兄(ハンケイ)の違いは父親が同じかどうかです。
競走馬の兄弟関係については知らなくても問題ありませんが、競馬をより一層楽しみたい方は覚えておきましょう。