近年、数多くの日本馬が海外競馬に挑戦し、結果を残しています。
ここでは、海外で活躍している日本馬の代表格でもあるディアドラについてまとめてみました。
ディアドラとは
ディアドラとは2019年8月現在、現役の5歳牡馬です。
通算成績は25戦8勝で、そのうち重賞を5勝しています。
父はキングジョージ6世&QESを勝利したハ―ビンジャー、母は2010年まで中央の芝で走っていたラインツェントです。
ケルト神話に登場する女性名が馬名の由来となっています。
3戦目で初勝利
重賞を5勝するなど活躍しているディアドラですが、初勝利までは3戦を要しました。
新馬戦が2着、2戦目が4着と好走はするものの、なかなか勝ちきれないでいたディアドラでしたが、1番人気に推された3戦目で2着に1.3/4馬身差をつけて完勝しました。
2戦目まではデムーロ騎手が騎乗していましたが、初勝利時の騎手は加藤祥太騎手でした。
重賞初挑戦は3着に終わる
初勝利の勢いのままディアドラはG3のKBSファンタジーステークスに挑戦します。
ここでは、単勝1.4倍の圧倒人気だったミスエルテが勝利しますが、ディアドラは2着とアタマ差の3着と好走します。
レースでは2着のショーウェイが逃げ、ディアドラは後方からの競馬となりましたが、最後の直線では1着のミスエルテと共に追い込んでの3着でした。
桜花賞は6着
初G1となった桜花賞では岩田騎手鞍上のもと、14番人気ながら6着とまずまずの成績を残します。
ファンタジーステークス以降4戦しましたが、いずれも勝ちきれないでいたため、ここでは14番人気となっていました。
レースでは後方に位置し、最後の直線で上がり最速の34.9という脚を使って追い込んできました。
それほど期待されていなかったので、上がり最速で6着という成績はディアドラの評価を上げる結果となりました。
これまで特に騎手が固定されていなかったディアドラでしたが、ここから紫苑ステークスまで岩田騎手が騎乗することとなります。
オークスでは4着
桜花賞から1ヶ月後の500万下クラスで勝利したディアドラは中1週でオークスに挑戦します。
ディアドラは桜花賞では上がり最速の6着でしたが、ローテーションや距離延長の不安から当日は9番人気とあまり人気しませんでした。
しかし、レースでは後方からまたも上がり最速の33.9秒の脚を使い、4着と健闘します。
紫苑ステークスで重賞初勝利
オークスから3ヶ月後の1000万下のレースを難なく勝利したディアドラはG3紫苑ステークスに出走します。
これまでの成績からここでは単勝2.5倍の1番人気に推されます。
ディアドラは最後の直線で3頭横並びの接戦を制し、重賞初勝利を挙げます。
2着とはクビ差でしたが、それは終始外を回したためで、実際は着差以上に強い勝ち方でした。
G1初制覇
ディアドラは紫苑ステークスを勝利した勢いのまま、G1秋華賞に挑みます。
このレースでは、これまで手綱を取ってきた岩田騎手が2番人気のファンディーナに騎乗するため、この年のG1をすでに3勝していたルメール騎手に乗り替わりとなりました。
レースでは発馬で出遅れて、後方からのスタートとなってしまいます。
それでも徐々にポジションを上げていき、最後の直線では2着のリスグラシューと共に伸び、最後にディアドラが突き抜けて見事勝利しました。
この勝利はディアドラにとって初のG1勝利となったのはもちろんのこと、ハ―ビンジャー産駒としても初のG1勝利となりました。
初の海外遠征は3着
ディアドラは2018年3月にドバイのメイダン競馬場で行われるドバイワールドカップに招待され、G1ドバイターフに出走します。
秋華賞を制してからの2戦はいずれも凡走しており、ここでは7番人気と人気しませんでした。
いつも通り後方からレースを進め、最後の直線で伸びては来ましたが届かず、惜しくも日本馬リアルスティールと同着の3着に終わりました。
騎乗したルメール騎手は手ごたえを口にし、調教師も「健闘してくれた」とコメントしています。
香港カップで2着となる
ディアドラはドバイターフから帰国後、クイーンステークスと府中牝馬に出走し、いずれも完勝します。
この勢いのまま、海外遠征2度目の挑戦である香港カップに出走します。
9頭立てで行われたこのレースで、道中は中団で脚を溜め最後の直線で伸びては来ましたが、前にいた香港馬グロリアスフォーエバーに届かず、惜しくも2着という結果に終わりました。
これで強豪ぞろいの海外で3着、2着となり、ディアドラの評価はますます高まりました。
海外G1は3戦連続で馬券外に終わる
2019年3月にディアドラは昨年同様、ドバイターフに出走します。
ここでは、日本から現役最強馬と謳われるアーモンドアイも参戦しており、単勝オッズも1.2倍と断然の人気を背負っていました。
ディアドラは世界的有名騎手モレイラ騎乗のもと、3番人気に推されますが3着に大きく差を付けられた4着となります。
勝ったのはアーモンドアイで、2着も日本馬のヴィブロスでした。
翌月には香港のシャティン競馬場で行われたG1クイーンエリザベス2世Cに出走しますが、最後の直線で伸びきれず6着に終わります。
ここでも、勝ったのは日本馬のウインブライトでした。
6月にはイギリスのアスコット競馬場で行われたG1プリンスオブウェールズSに出走しましたが、海外の強敵を前に6着に敗れます。
いずれのレースも最後の直線で伸びきれず、これで海外G1は3戦連続で馬券外となってしまいました。
悲願の海外G1初制覇
ディアドラはプリンスオブウェールズS後も帰国せず、そのままイギリスのグッドウッド競馬場で行われるG1ナッソーステークスに出走します。
ここでは、アイルランド出身の騎手オイシン・マーフィー騎手が騎乗しました。
マーフィー騎手は2018年末の1ヶ月半、日本競馬に参戦し25勝挙げる活躍を見せた騎手です。
当日は近走の成績や初の60kgなどから9頭立ての7番人気となり、ほとんど期待されていませんでした。
しかし、レースでは後方に位置し最後の直線で内から力強く伸び、逃げていた2番人気のメダーイ―を差し切り悲願の海外G1初制覇を達成します。
この勝利は日本調教牝馬で初のイギリスG1制覇という快挙となりました。
また、イギリスでの勝利もアグネスワールド以来19年ぶりの勝利となりました。
ディアドラの次走
ディアドラの次走は2019年9月14日アイルランドのレパーズタウン競馬場で行われる、G1アイリッシュチャンピオンステークスです。
鞍上は前走から引き続きマーフィー騎手で、マーフィー騎手は昨年もこのレースを勝利しています。
日本馬がアイルランドのレースに出走するのはこれが初めてで、出走するだけでも快挙と言えるでしょう。
日本でも馬券の発売が行われることが発表されています。
9月2日に出走時間の変更が発表され、その理由の一つに日本の視聴者への配慮が挙げられており、ディアドラの影響力の高さがうかがえます。
アイリッシュチャンピオンステークスの結果次第では凱旋門賞挑戦もあり得ると陣営は話しています。
まとめ
これほどまでに海外のレースに出走し、さらに結果を残している日本馬はディアドラしかいないのではないでしょうか。
このまま海外で活躍し、いずれは日本馬初の凱旋門賞制覇を達成してほしいものです。